音声収録のお話。~16bitか24bitか~

Pocket

動画を撮影するのに切っても切れないもの。それが音声。

カメラやってる人は「構図・露出」などの「映像」部分の理解はあると思うのですが「音声」は目にも見えないし、ちょっと難しい部分かなと思います。

そこで、今回は音声収録のお話をしてみようと思います。

サンプリングレートとBit数って?

音声データというのは音声が波として空気なり、なんらかの物質を通った「波」をデジタル化して記録しているものです。

波ですので、当然連続しています。

これをある程度の時間軸で区切りながら、その時の波の強さを記録していくんですが、

区切る感覚=サンプリングレート

波の強さの解像度=Bit数

となります。

wave1

このような波形データを拡大していくとwave2

階段状になっています。この階段の幅=サンプリングレートです。

そして、階段の高さを決めているのがBit数。

Bit数によって、「記録できる波形の大きさが、実際の波形にどれだけ正確か」どうかが決まります。

たとえば、階段は30cmの高さ。と決まっているとしましょう。このとき20cmも27cmも34cmも同じ30cmの高さとして記録される。という具合です。これが1cm単位で調整可能。という階段ならばそれぞれの本当の高さで階段を作ることができます。

一般的にCD=44.1kHz(1秒間を44100で分解。)、DVDなどの映像は48kHzとなっていますので映像に使う場合は48kHzを使用しましょう。

また、最終的に書き出される音声データは一般的に16bitであるという点も覚えておきましょう。

24bit収録のメリット

高性能な外部音声レコーダーは、16bitより階段の高さの幅が細かい24bitを使用することができます。

どのくらい細かいかというと、16bitの一段をさらに256に分解したぐらい。ものすごく細かいです。

でもデータ量は16bitの1.5倍。最終的に16bitになるのに、なぜ24bitで収録する必要があるのでしょうか?

ヘッドルーム

デジタルデータというものは、ある限界値以上の値を記録することができません。

100が限界なのに、120や140が来てもすべて「100」として記録されます。

これがいわゆる「Clip」という現象で、音割れの原因になります。

記録できなかった部分のデータは復元できませんので、録音時にあらかじめ「余裕をもって」低いレベルに録音レベルを設定しておき、ふいに大きい音声が入ってきてもClipしないようにします。

この「余裕」をヘッドルームと呼び、大体12dB~20dBぐらいを取るのが一般的です。

ヘッドルームのデメリット

このヘッドルームを持つ。というのはもちろんデメリットもあります。

ある二人の会話を録音中、通常の会話の音声をClipする位置から12dB低いレベルで収録していたとき、特に大きい音声が入ることもなくそのまま収録が終了した場合、このヘッドルーム分の領域はムダになりますよね。

どのぐらいムダになるのか

答え:1bit = 6dB なので 2bit分ムダになる。

これは音声データのルールとしておぼえておくと便利ですが、1bitには6dB分のチカラがあります。

細かいことは各自調べてください。1bit = 6dBです。16bitには6×16 = 96dBのチカラがあり、24bitには6×24=144dBのチカラがあります。

つまり、12dBヘッドルームを持った状態で16bit収録した場合、2bit分のチカラを温存して終えたことになるので実際に有効なデータは14bit。

これがもし24bit収録していた場合は実際に有効なデータは22bitとなります。

14bitデータから16bitデータを作るより、22bitから16bitデータを作るほうが音質が優れるのは明らかです。

つまり最大音声レベルがわからない状況での音声収録は24bitにしたほうがいい。

ということになります。

そのほかにも、大きい音は小さく、小さい音は大きくするような「コンプレッサー」のようなエフェクトを後処理でつける場合、24bit収録してあれば小さい音声も細かい階段で綿密に記録してありますので、ボリュームを上げた場合(=引き延ばした場合)に階段が滑らかになりますので16bitよりも音質がいい。ということになります。

逆に、最大レベルがわかっている状態(ヘッドルームを持たなくてよい場合)や、後処理をあまり行わない場合、音声に拘らない場合は16bit収録でも問題ありません。

16bitと24bitはJpeg撮って出しかRAW撮りか。のように捉えて音声収録を行うといいと思います。

 

 

 

 

 

“音声収録のお話。~16bitか24bitか~” への2件の返信

  1. ピンバック: 映像作品のクオリティの75%を決める7つのアイテム | Pulsejack Film

  2. ピンバック: 映像作品のクオリティの75%を決める7つのアイテム | Sakai Filmworks

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。