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Twitter見てたら閉口した
先日Twitterのタイムライン見てたらちょっとびっくりするような内容のツイートを見つけました。
ちょっと何言ってるかわからない pic.twitter.com/E81Q6JMMgq
— 酒#アキヒロ (@SakaiFilmWorks) March 17, 2020
発言主は自称動画編集を愛する、動画編集者のためのコンサルやらサロンを運営するという人。
余談ですが、調べたところそのサロンは月2980円で、認められると1本5千円の低単価高単価案件を振られるという、3000円近く払ってまで奴隷以下の報酬で仕事をさせられる素晴らしいものらしいです。
さてさて、ちょっとmovとmp4についておさらいしてみましょう
どちらもコンテナフォーマット
movもmp4も、映像ファイルでよく見かける形式(mp4はAAC形式のオーディオファイルでも見かけますね)ですが、『コンテナフォーマット』と呼ばれるファイル形式になります。
コンテナというのはどういう事か、というと要するに『入れ物』です。器。
映像は一般的に『音』と『画』があるわけですが、コンテナフォーマットのファイルの中は画と音が別々に圧縮されて保存されていることになります。
要は、
- お米→映像
- うなぎの蒲焼→音
だとすると、コンテナフォーマットが丼ならうな丼、重箱なら鰻重。ということですね。
お米やウナギはそれぞれ音用、映像用のコーデック(調理方法)で加工されていますが、これは入れ物が重箱でも丼でも同じですね。
もちろん、ウナギを関東風にふわふわに白焼きにしている場合、関西風にカリカリにしている場合同様、違う調理方法(コーデック)で処理している場合があります。
コンテナフォーマットの説明についてはこちらがわかりやすかったですね。
movと一概に言っても、色々なコーデックが使われている
というわけでmov。というファイルフォーマットでも様々な形式が存在します。重箱に入った食べ物でも、鰻重もあればカツ重や天重、親子重やもしかしたら牛重もあるかもしれないですね。
一般的に初心者からガチガチのプロまでが使っているカメラが吐き出すmovファイルは映像がH.264、音声がAACというものが多いかと思います。
一部のカメラやGoProやスマホなんかはH.265という映像コーデックが使われ始めてます。デコードが重いのでそのまま編集に使うと低スペックなPCではカクカクしてしまうことも。
シネマカメラやらが吐き出すmovは『ProRes』というAppleが作った規格のものがありますね。最大4:4:4:4のサンプリング、10bitの色情報を保持できるので高画質な場合が多いですが、こちらはビットレートが高めなのでファイルサイズは大きくなります。ただしデコードが軽いので編集するのには適しています。
使用されているコーデックを調べるにはVLCでウインドウ→メディア情報からコーデック詳細タブで確認したり、DaVinci Resolveのメディアページの「メタデータ」から確認することができます。
CFRかVFRかはWindowsであればフリー、Macなら120円で購入できるMediainfoというアプリを使うと確認することができます。
またVLCでフレームレートが24/29.97/30/59.94/60fpsではない変な数字であればVFRの可能性が高いです。
movだから音声と映像がズレる。という事はない
というわけで、movと一概に言っても様々なファイル形式が存在しているので、『movだから音声と映像がズレる』ということは絶対にありません。
そんなことが起きたら世界中のポスプロはmovのProResで納品しませんし、movで吐き出すカメラなんてボロクソに言われてます。皆さん安心してmov使ってください。
mp4に変換してもファイルサイズは必ずしも小さくならない
『容量が大きくなります』という部分がどうしてもわからなかったので、質問してみました。
容量に関して知りたいのでしたらmovをmp4に変換してみれば容量に差がどれだけあるか分かると思いますよ😌
mp4の方がファイルサイズがコンパクトなので。
それとmovが全て音ズレするという意味でもありません。端的にまとめようとして誤解を招いた事は申し訳無いです!
— いずみん/多角化クリエイター (@Video_Creator_) March 18, 2020
すると『変換すればわかりますよ』という回答を頂いたのですが、これは変換せずとも間違っていることがわかります。ファイルサイズの差は再エンコードするビットレートに依存します。
前述したようにコンテナフォーマット(入れ物)を変えても中身は変わりません。mp4の方がファイルサイズがコンパクトというのも間違っています。
movからmp4へ変換してファイルサイズが大きく変わったとするならば、それは変換時のビットレートを小さく設定しているに他ありません。
そんなことをしてしまうともちろん動画の画質が落ちてしまいますので時間無駄どころかクオリティを下げる行為ですね。
ちなみに、それより高いビットレートやH.264の動画をProResやDNxHRに変換したところで編集はしやすくなりますが画質が向上することはありません。
それであればNLF(ノンリニア編集ソフト)でプロキシメディア作るだけで事足ります。
ではなぜ音ズレを言及しているのか
これについてはこれが騒がれ始めて早々に有識者たちがコメントし始めていました。
iPhoneで収録した動画データはVFR(可変フレームレート)という、状況によって余計なフレームを間引いてるので普通に編集ソフトに読み込むと音ズレ起きるんですけど、Premiereの場合「オーディオ同期を保持」をオンにすると音ズレが無くなります。
movはきちんと扱えば悪くないので是非。— M∧яιяμι^._.^ (@marirui67) March 17, 2020
どうやらiPhoneの画面収録や撮影フォーマットに『高効率』を選んだ場合、VBR(可変ビットレート)ならぬVFR(可変フレームレート)という通常60pや30pなどで固定のフレームレートが可変で撮影されるそう。
で、Premereで『オーディオ同期』を使用せずに使った場合に音ズレが発生する。という具合です。iPhoneでなくAndroidのスマホでも同様のフォーマットがあるようですね。
もうね、こんなのはmov形式のファイルでもかなりのレアケースですよ。こんなのをあたかも『movファイル全て』かのようにMP4変換を勧めるのは愚の骨頂。
「自称動画編集コンサルタント」の人たちに注意
最近の情報商材屋さんのあれこれでどうも映像編集業界がターゲットにされているようで、中身カスカスな高額教材やら、2500円の全く使えないPremiereタイトルやら、コンサルと称して金を集めて動画編集を始めたての人たちへ大した知識もない人たちが寄ってたかって搾取する構図が見受けられます。
この発信者の人のコンサルやらサロンは中身知らないのでわかりませんが、もし有料のオンラインサロンやらコンサルなどを受けようとしている人は、まずその人たちが確かな知識・技術を持っていて、運営しているサロンやコンサルがその金額を支払う価値のあるものであるかどうかを慎重に見極めてくださいね。
さいごに
間違えるのはいいんだ
僕もそうだけど発信する側はみんなに良かれと思って発信するから。でも間違ってたときは誰かが指摘してくれるんで、その時に「しまったーなるほどなー」ってなって「ごめん!間違えてたこっちが正しいわー!」ってちゃんと訂正して信じてくれてる人に周知するのが大事だと思う
— ダストマン (@dustman_tips) March 18, 2020
ダストマンさんのツイートのこれに尽きますが、私も情報発信している以上間違った情報を流すこともあるでしょう。
「端的にまとめたかった」「140字では足りない」などと言ってますがこれまで説明した知識があればmovではなくVFRという単語を選ぶでしょうし、mp4がファイルサイズがコンパクト。などというトンチンカンな回答は絶対にしません。
言い訳せずにしっかりと間違ったことを間違ったと認め、ごめん!と素直に正しい情報に訂正する姿勢が情報発信者として一番正しい姿なのではないでしょうか。